師の教えを守り、作りたてを信条とする「懐石 森本」。
その料理は決して華美ではないですが、
だからこそ素材本来の旨味、
その日一番の季節を感じることができる料理です。
その時期、その日に最も美味しいものをお客様に愉しんで欲しい。
ただそれだけ、その想いを込めて、
食材や調味料など直接味にまつわるものだけではなく、
炭や土鍋などの調理器具、そして器や店内に飾る花にいたるまで、
修業時代から培ったこだわりを元に選んでいます。
その想いを少しでも感じていただき、
味わう喜び、飾らない心地よさを愉しんでいただけると幸いです。
修業時代からの付き合いの業者から仕入れる瀬戸内産の鮮魚、
地産地消の想いを元に奈良の実家で育てる野菜や米、山で自ら採取する天然の山菜。
すべて“旬”にこだわって選ぶ食材の数々。ひと皿ひと皿に確かな想いが息づきます。
桜鯛、鰹などの魚介類はお得意先の業者からよりいいものを。
またふきのとう、わらび、花山葵など春の山菜は自ら山に登って
自然の旨味が詰まったものを選りすぐって。
夏に身が肥え、旨味たっぷりの鱧や鮑を愉しめる季節。
野菜も色鮮やかなものが揃い、
見た目も美味しさも華やかなひと皿を味わっていただけます。
松茸、秋刀魚、銀杏、そしてお米。
実りの秋は美味しい食材の宝庫。
昼も夜も、
思う存分“旬”をご堪能いただける料理をお届けいたします。
毛ガニ、しじみ、蕪、ゆりねなど、
秋の旨味をじっくり蓄えた冬の食材。
よく冷えた日本酒を片手に味わいたい料理が揃います。
旬の食材選びと同じくらい
大切にしていること、
それはすべての和食の基本である
出汁作りです。
昆布は利尻昆布の中でも、
上品な香りと味で評価の高い
礼文島香深産のものを使用。
鰹節はより旨味が増す
近海一本釣りの鰹節。
それを一本一本丁寧に
手で削ります。
この削りたての鮮やかな
ピンク色が、懐石 森本の
美味しさを支える原点です。
料理で使う水は、店主の奈良の実家にある井戸からくみ上げた
良質の地下水を使用。繊細な味わいの出汁に仕上がります。
昆布、鰹節、水まですべてにこだわり、長年の経験で引く懐石 森本の出汁。
その他にも島根の井上醤油、和歌山のこめ油、京都の千鳥酢、
能登の珠洲の塩、愛知の三河みりん、四国の和三盆など
調味料も長年の経験で最善のものを厳選しています。
吸物や炊き物、煮物など、店主が料理人としての心得を体現し続ける味わいをぜひご堪能ください。
焼き物にかかせない炭。懐石 森本では炎が立ちにくく、
火力が強い紀州備長炭を使用しています。
強力な赤外線で、選び抜いた食材の旨味を最大限に引き出します。
コースの後半にお出しする御飯は、
一流料亭でも愛されている中川一辺陶の御飯鍋で炊いています。
お米は店主の実家で採れる奈良・御所市の伝統ある米・吐田米(はんだ米)。
ふっくらで甘さが引き立つ御飯は、ついおかわりしたくなる美味しさです。
料理の舞台となる器にも店主のこだわりが息づいています。
その品揃えは地元の作家の作品から骨董品まで、個性豊かで様々。
酒器の方も地元の作家、名のある方から無名の作家の物、また人間国宝の作品も。
酒器はお客様の雰囲気を見ながらお出ししますが、
ぐい呑みは自由にお選びいただけますので、料理と同様にお愉しみください。
和食屋に欠かせない花。懐石 森本に飾られる花は、
すべて店主が笠、飛鳥、鳥屋などの山々で直接摘んでくる、自然の美しさあふれる花です。
それは修業時代から欠かさず行っており、夏はヤマアジサイ、ホタルブクロ、秋はミズヒキ、野菊など、その季節にふさわしい花を選び、
枝ものは外観に、野花は店内に、それぞれ地元の作家の花器で飾ります。
カウンターで料理を待つ間、きっと目を愉しませてくれるはずです。